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香港:象徴的な国際ハブ空港

作成者: OAG|2017/07/10 0:00:00

世界有数の交易中心地のひとつとして、香港は常に取引相手となるあらゆる場所とつながって繁栄してきました。観光業と貿易は密接に関係しているので、香港の成功は常に世界とのつながりやすさと連動してきたのです。香港国際空港(HKG)には 日常的に約1,000便の航空機が発着し、直接乗継123の都市を繋いでいます。このような乗継の良さがアジアで最も強力なハブ空港を生み出しました。毎年2000万人近い乗客が航空便の乗継地点としてこの空港を利用しています。

OAGトラフィックアナライザーは、2017年2月までの12ヵ月間に、合計6,680万人の旅客が香港国際空港で航空便を予約したと報告しています。(この数字には、他の統計情報には記録されているであろうノンレブおよび不定期路線の乗客は含まれていません)このうち、29%が香港空港を乗継地点として、残りの71%が旅の出発点または終着点として利用していました。一年を通して、香港空港は2,891通りのペアにもなる国々を繋ぐ中継ポイントとして旅客に利用されました。

ハブ空港としての成功は、ほとんどがキャセイパシフィックとの関係によって推進されてきました。キャセイパシフィックは最近、ブランドを香港ドラゴン航空からキャセイドラゴン航空へリニューアルし、中国らしさを「感じる」フルサービス航空会社として、この歴史的な交易空港を中継地として中国との往来をさらに加速する方針を明確に打ち出しています。キャセイパシフィックは現在、同空港の全乗継予約の2/3(66%)を占めており、キャセイドラゴンはさらに10%を占めています。当然のことながら、乗継旅客の最大の供給国は中国であり、乗継トラフィック・フローの35%を占めています。

乗継トラフィックを香港経由により繋ぐ国々のトップ20ペアを見れば、香港ハブ空港が中国の大望を達成するのに果たす役割は明確です。中国―台湾の組み合わせが香港で最大かつダントツの乗継フローで、すべての乗継トラフィックの6.1%を占めます。中国はそのトップ20ペアの国々の中の、11の組合せでそれぞれの相手国になっています。

中国への集中とは別に、香港空港の乗継戦略は、香港を結ぶ膨大な数の長距離トラフィックを有する同空港の長距離乗継の規模を利用しています。乗継トップ20ペアの国々・トラフィック・フローのうち9つにオーストラリア、米国、イギリスが含まれています。

アジアにおけるワンワールドでの地位は比較的低くなっています。キャセイパシフィックとキャセイドラゴンが乗継予約の76%を占めていることを考えると、キャセイパシフィックおよびその関連会社を含む香港における乗継予約のワンワールドのシェアが81%であるという事実は、同提携がハブ空港としての成功に大きく貢献していないことを示しています。8年ぶりに赤字に転落ししたキャセイパシフィックは、確かな戦略を取ることに集中しており、必然的にワンワールドの外にも幅広いパートナーシップを求めています。

ハブ戦略の一部として香港をアジアの主要乗継空港として維持することも視野に入れています。一例として、2017年3月のスターアライアンスのメンバーであるルフトハンザとのコードシェア発表があります。これによって、ルフトハンザはオーストラリアとニュージーランド(SYD、MEL、CNS、AKL)のキャセイパシフィック路線にMUC、VIEおよびZRHからアクセスでき、一方でキャセイパシフィックはヨーロッパのFRA、DUS、ZRHを超えるポイントにアクセスできるようになります。

このコードシェアはルフトハンザ/シンガポール航空のパートナーシップに疑問を残しますが、このシリーズの次のレポートで説明されているとおり、同パートナーシップのハブ戦略はより地域に焦点を当てたものになっています。