混乱の最中には、それが過ぎ去った時のことを考えたり、通常の生活に戻ることを想像することも難しいかもしれません。航空業界、特に中国を襲った今回のコロナウイルス危機は、現在世界中の話題の中心となっています。最終的にどれほどの影響が及ぶのかはまだ不明ですが、現状では、中国の国内航空サービス市場と、一部の国際市場では、中国がウイルスを封じ込めようとすることに伴い、これまでにないほどキャパシティ(航空座席数)が低下しています。
この規模の混乱は、業界でも未経験の人も多く、いつどのようにして回復するのか不安に思っているかもしれません。ウイルスや経済的な不況、自然災害は、いずれも過去に航空需要に影響を与えていますが、通常は短期的であり、需要の回復に伴い、常に乗客数は増加してきています。
2003年に発生したSARSの際にも、世界中でキャパシティが減少しましたが、間もなく回復し、2004年には7.4%、2005年には4.8%の平均成長率を遂げています。これは、それまでの過去5年間の2.5%という年間成長率よりもかなり高い結果です。2007年までには、SARSがもし発生しないまま成長が継続していた場合の予想と比較すると、発生した場合の方がキャパシティがより増加したという結果となりました。
アジア太平洋地域だけで見ると、SARS後の回復効果はさらに大きく、2004年にはキャパシティが10.3%増加し、その後2008年から2009年にかけて世界的な景気後退の影響を受けるまで急速に増加し続けました。