OAGのブログ | 業界トップのインサイト、ニュース、コメント

コロナウイルスによる影響と航空需要の回復

作成者: Deirdre Fulton|2020/02/10 3:05:51

混乱の最中には、それが過ぎ去った時のことを考えたり、通常の生活に戻ることを想像することも難しいかもしれません。航空業界、特に中国を襲った今回のコロナウイルス危機は、現在世界中の話題の中心となっています。最終的にどれほどの影響が及ぶのかはまだ不明ですが、現状では、中国の国内航空サービス市場と、一部の国際市場では、中国がウイルスを封じ込めようとすることに伴い、これまでにないほどキャパシティ(航空座席数)が低下しています。

この規模の混乱は、業界でも未経験の人も多く、いつどのようにして回復するのか不安に思っているかもしれません。ウイルスや経済的な不況、自然災害は、いずれも過去に航空需要に影響を与えていますが、通常は短期的であり、需要の回復に伴い、常に乗客数は増加してきています。

 

2003年に発生したSARSの際にも、世界中でキャパシティが減少しましたが、間もなく回復し、2004年には7.4%、2005年には4.8%の平均成長率を遂げています。これは、それまでの過去5年間の2.5%という年間成長率よりもかなり高い結果です。2007年までには、SARSがもし発生しないまま成長が継続していた場合の予想と比較すると、発生した場合の方がキャパシティがより増加したという結果となりました。

アジア太平洋地域だけで見ると、SARS後の回復効果はさらに大きく、2004年にはキャパシティが10.3%増加し、その後2008年から2009年にかけて世界的な景気後退の影響を受けるまで急速に増加し続けました。

 

エボラ出血熱は主に西アフリカに限定されていましたが、同様の影響を受けました。ウイルスが発生し始めた2013年には、航空会社が市場から約100万座席減らしたことにより、成長率も3%減少しましたが、翌年には回復、2度目の発生で再び停滞し、その後は再びプラスの傾向に戻っています

今回の危機による航空業界への最終的な影響を現時点で予測することはできませんが、過去のトレンドからも、通常は混乱のピークから約6か月後までに回復し、航空旅行需要の回復力に伴って、成長率もいずれ回復することがわります。

 

コロナウイルスに係る座席数の減少率については弊社の英語版ブログをご参照ください。

www.oag.com/blog/coronavirus-strikes-chinese-aviation